2023 年 11 月に他界された相野洋三先生は、生前にアンナ・コムネナの『アレクシアス』を日本語訳するという大仕事を成し遂げられ、それが一つのきっかけとなって佐藤二葉先生の日本史上初(?)のビザンツを題材にした商業漫画『アンナ・コムネナ』連載へと繋がっていったわけですが、何と相野先生は遺稿としてアンナの夫ニケフォロス・ブリュエンニオスの『歴史』(これが未完に終わったことで『アレクシアス』が生まれた)も訳されており、この度それが出版される運びとなった訳です。
12世紀の歴史上の人物の著作で、夫婦の著作が現代まで残っているだけでも世界史上希少であると思われますが、ましてやビザンツという日本ではマイナーな国のそれが両方とも日本語で読めるとは、奇跡的とすら言ってもいいかもしれません。
しかも、付録としてマンツィケルトの戦いを記録したプセルロスやゾナラスなどの歴史書4書の記述、井上浩一先生の解説、村田光司先生の補遺、中谷先生の相野先生への追悼文まで載っていてお値段何と5,000
円(税抜)!この手の本としては、お買い得としか言いようのない値段。さらに帯の推薦文は佐藤二葉先生と、アンナ・コムネナが『アレクシアス』で書いている文を入れるという…わかってるなぁ悠書館。
というわけで、これはもう『アレクシアス』とセットで本棚に置いておくしかない1冊。
例のごとく、ビザンツ関連書籍は「出た時が買い時」ですので、お忘れなくお買い求めください。
歴史(イストリア)
西洋古代・中世唯一の女性歴史家、アンナ=コムニニを歴史学へ導いた、夫ニキフォロスによる歴史書を初邦訳。アレクシオス1世の父の世代から語り起こし、皇帝ロマノス4世がトルコ軍の捕虜となったマンツィケルトの戦い 、著者の祖父ニキフォロス・ヴリエニ...
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