2023年3月25日(土)・26日(日)に一橋大学で開催された日本ビザンツ学会の第20回大会に参加してきましたので、ご報告をば。本当はもっと早いうちに出したかったのですが、諸事情あって一か月近く経ってしまいました。
日本ビザンツ学会は2019年の駒澤大学での開催以来、コロナ禍で中止だったりリモート開催でしたが、4年ぶりの対面での開催となりました。しかも土日で関東開催ということで、一般社会人にも優しい日程(2019年は懇親会だけ参加した)。
東京・国立駅から南へ延びる大学通りには桜の木が植えられていて、満開を少し過ぎたくらいの時期だったのですが、3月25・26日の天気は雨、しかも肌寒いという、ちょっと残念なことに。
会場の佐野書院は一橋大学のキャンパスからは南に外れたところにある、一橋大学後援・同窓組織「如水会」の談話室として建てられた建物。絨毯とソファーにグランドピアノが置かれたラウンジのような場所もあったりする、立派な建物(ちなみに「佐野」は一橋大学の前身東京商科大学の初代学長・佐野善作氏から)。
内容はビザンツ学会のWEBサイトの「大会」(おそらくそのうち報告要旨も公開されるでしょう)をご参照いただいたほうが良いですが、いちおう以下に記しておきます(報告者の敬称略)。
3月25日(土)
開場: 13:00
開会の辞 13:20~13:30
① 草生久嗣 (大阪公立大学)
「第24回国際ビザンツ学会オンライン参加報告」
② 仲田公輔 (岡山大学)
「王たちがアルメニアを去って―ビザンツ併合後のヴァスプラカン(11–12世紀)」
③ 村田光司 (筑波大学)
「ニカイアとテサロニケの和約:1241年、1242年、それとも1243年?」
④ 村田光司、武田一文 (筑波大学)
「長塚安司氏旧蔵ラコニアおよびカッパドキア調査資料について」(共同発表)
⑤ 総会、会計報告 17:00~17:50
3月26日(日)
① 藤田康仁 (東京工業大学)
「カフカースにおける中世キリスト教建築の調査研究」
② 嶋田紗千 (実践女子大学)
「セルビアの献呈図における建築の表現」
③ 小田昭善 (大阪府立信太高等学校)
「バシレイオス2世時代の帝国吏僚たち〜書簡史料と印章史料から〜(仮)」
④ 唐剣文(一橋大学)
「ビザンツ12世紀の船舶と海運:アトス山文書からの再考(仮)」
⑤ 渡辺理仁(一橋大学)
「『ペイラ』49章婚姻法分析:11世紀ビザンツ婚姻法実務検討(仮)」
草生先生の第24回国際ビザンツ学会の参加報告を聞いたところ、国際ビザンツ学会は非常にお金かけてやる(金融機関がスポンサーにつくわ、歌劇場を開会式に使うわ)ものなのだということがわかりましたが、一方で2022年現在の正教圏で起きている最大の問題であるロシアのウクライナ侵攻についても、トルコの政権によるアヤソフィアのモスク化についても特に声明を出すわけでもなく、殆ど触れもしなかったというのが、まあ、要らんトラブル抱えたくないのはわかるけど何だかなぁというのが率直な感想です。
仲田先生、村田先生、小田先生の史学系の報告はもちろん、2日目の東工大の藤田先生のドローンや3Dスキャナを使ったアルメニアやジョージアのキリスト教建築の調査報告、渡辺理仁さんの婚姻法の検討など、今回は史学、建築、美術、法制史などこの学会ならではのバラエティに富んでいて興味深い報告満載でした。
懇親会はまだ開催できなかったので、お話ししたかった・ご挨拶しなければいけなかった方々にそれが出来なかったのが残念でしたが、まだコロナも収束しているわけではないのでこれは仕方ないところですね。
なお、来年の第21回大会は岡山大学で開催予定です。初の岡山開催になりますね(個人的に岡山は岡山駅で乗り換えしかしたことないし、岡山大の仲田先生にはお世話になってるので行きたいけど、行けなそうなのが残念)。
(余談)2日目の昼時に立命館の小林功先生とロビーで喋っていたら一橋の大月先生が小林先生に話し掛けてこられたために、そのままなぜか3人で喋ってたのですが大月先生は「こいつ誰だ」状態だったろうなぁ、と。
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